Tax My Life

20代の市役所職員が税理士試験や税金について情報発信します。

【税金】延滞金の真実。正直者がバカを見る。【徴収の裏側】 

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私が市役所で滞納整理を仕事としている中で、一番納得できないことを記事にしたいと思います。

 

このブログを開設した目的の一つは、税金徴収の現場では何が起こっているのかを、職員目線でお伝えするためです。 

 

税金を滞納している人を相手にする中で、どうしても差し押さえをしなければならない場面があります。

 

税金を滞納してしまった人には、納期限内に納付している納税者との公平性を保つために、延滞金が一定の割合で課されます。 

 

ところが、この延滞金の取り扱いというのが、多くの自治体で定まっていないのが現状です。

 

そのため、同じ市内に住む人でも、数百万の延滞金が請求されずに時効で納税義務が消滅する人がいる一方で、まじめに延滞金を払おうとしている人に対しては厳しく請求を続ける現状があります。 

 

市の運営方針やタイミングによって、数百万円の延滞金を追加で納付しなければならなくなる現状には、いち職員としてどうしても納得ができません。 

 

なぜこんな公平性のかけらもないことが起こっているのか? 

 

税金徴収の現場では具体的にはどんな悲惨なことが起こっているのか? 

 

その理由を説明していきます。 

 

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正直者がバカを見る 

延滞金は、元々課されている税金(本税といいます。)に応じて約9 %の割合で加算されていきます。

 

本税の金額が大きければ大きいほど加算される延滞金は大きくなり、高額滞納者ともなると、延滞金だけで数百万円に達する滞納者も珍しくはありません。 

 

もちろん、延滞金も税金の一部ではあるので、必ず納付しなければなりません。

しかし、現状では延滞金を積極的に請求することはしていない自治体の方が多いです。

 

本税だけ納めていれば、延滞金については何百万と残っていようが、差し押さえを回避する自治体もあります。 

 

また、税金は5年間請求しなければ時効によって、請求する権利が消滅してしまいます。 

 

そのため、5年経てば、延滞金の時効が到来して、実質的に払わなくてよいことになるのです。 

 

しかし、公務員という立場上、延滞金が残っている以上は滞納者に請求せざるを得ません。 

 

「延滞金は積極的に請求はしないけど、立場上、請求しないわけにはいかない 」

 

これがどういうことになるのかというと、「延滞金を払いたい」と連絡してきた滞納者に対してだけ延滞金を請求するようになるのです。 

 

延滞金のことなど無視して、一円も払うつもりがない滞納者が得をして、まじめに延滞金を払う意志を見せてきた滞納者は損をする現状になっています。 

 

これがまさに正直者がバカを見るようで、公平性のない徴収の現場だと感じている一因です。 

 

では、なぜ延滞金が時効で請求できなくなっているのに問題にならないのでしょうか。

 

延滞金はそもそも時効を管理していない 

税金を徴収する部署では、どの自治体も必ず、「滞納整理支援システム」と呼ばれる個人情報記録システムを使用しています。 

 

このシステムには、滞納者一人ひとりの住所氏名、いつだれと何を話したか、滞納金額などが詳細に記録されています。 

 

税金の時効は5年であるため、このシステムで当然、本税の部分については時効によって請求ができなくならないように管理をしています。

 

時効を止めるためには、滞納者に一筆書いてもらう(債務の承認と言います。)ことや差し押さえをする必要があります。 

 

しかし、延滞金についてはそもそもこの時効を管理していません。延滞金が時効によって請求できなくなっても構わないというスタンスなのです。 

 

そのため、連絡をしてきた人だけに延滞金を請求するという事態が発生してしまいます。 

 

本税の「納税率」でしか自治体は評価されない 

延滞金は時効によって請求できなくなっても構わないというスタンスは、税の現場に携わっていない人間であれば理解できない状況でしょう。これはなぜか? 

 

各自治体では、毎年、課税額に対していくら税金を徴収できたかを示す「納税率」という数字を公表しています。

 

市町村であれば、都道府県によって納税率が集計され、市町村ごとの順位をつけています。 

 

実はこの「納税率」の順位がそのまま各自治体の評価になっているのですが、この「納税率」の集計対象には延滞金は入っておらず、本税のみでの集計になっています。 

 

この「納税率」と都道府県内での順位は税金徴収の現場では非常に重要な意味を持ち、年度当初に定めた「納税率」を目標に、滞納整理を行っていくのです。 

 

また、市議会においても、市議会議員からの指摘の対象になることも多く、自治体の上層部は「納税率」を上げることに躍起になっています。 

 

そのため、いくら徴収しても「納税率」の上がらない延滞金は放置し、連絡のあったまじめな滞納者だけに延滞金を徴収するような事態になっているのです。 

 

 

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担当者によって延滞金の話が違う 

税金徴収の仕事をしていると、「前の担当者と言ってたことが違う」と言われることがあります。 

 

些細な誤りや誤解は致し方ないとは思っているのですが、時には間違いで済まされないような対応をしていることもあります。 

 

前担当者が 「延滞金は払わなくていい。 」 と言っていたのを、 人事異動によ。て担当が変わってからは 「延滞金を払わないと差し押さえする。 」 と言っている職員もいます。 

 

本来であれば、 担当が変わったからと言って、 払わなくていいものを払わなければいけなくなるようなことはあってはいけません。

そもそも、いち職員にそんな権限はありません。 

 

ですが、 現実的にこういった問題が起きてしまっているのは、 延滞金の取り扱いがずさんになっていることが原因になります。 

 

延滞金を免除するには、 法律または条令による納税緩和の手続きを取らなければなりません。 

 

この納税緩和の措置を取るには、いくつかの要件をクリアしていることを調査し、 所属長 (多 く の場合は課長) の許可を得なければなりません。

 

この調査には時間も労力もかかります。 

 

しかし、上記にもあるように、請求せずに5年が経過すれば自動的に納税義務が消滅してしまうのです。 

 

その結果、「自分が動いても動かなくても5年経てば結果は同じ」という思考になる人が多いです。 

 

そこで問題が起きるのが、担当者が変わって、「延滞金は払わなくていい」と前担当者が言って(しまって)いたことを知らずに、連絡をしてきた滞納者に対して延滞金を請求してしまうのです。 

 

この場合、滞納者にはなんの落ち度もなく、正しい処理をしなかった、正しい引継ぎをしなかった職員の問題になります。 

 

強いて言うのであれば、滞納者からしてみれば「運が悪かった」ということになるのですが、「運が悪かった」で数百万円の金額を左右される事態になっていいのでしょうか?

 

まとめ 

税金を徴収する側からすると、税金を納期限内に納付していれば、延滞金は発生するはずもなかったので、「税金を滞納したほうが悪いんでしょ」という論調になってしまいます。 

(というか、税金を徴収する仕事をしている人はほとんどこの考え方です。)

 

ですが、私が問題視しているのは、各自治体の延滞金に関する取扱いです。

 

これを読んだ人に勘違いをしてほしくないのが、そもそも、延滞金は払わなければならないお金です。納期限内に税金を納めた納税者との公平性を保っためにも必要な制度です。 

 

「じゃあ延滞金は払わなくていいんだ!」というわけではありません。 

 

遠回しな言い方になってしまいますが、欲を言えば、税金徴収の現状を全滞納者に知ってもらったうえで、自身で最善の選択をしてほしいと思ってこの記事を書きました。 

 

 

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